十字架上のキリスト1

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§ 聖書に記された十字架

 

 

 

 皆さんは、聖書に記されている「イエス・キリストの十字架の場面」をご存

 

でしょうか?

 

 

新約聖書ルカの福音書23章32節には、このように書かれています。

 

『ほかにも二人の犯罪人が、イエスとともに死刑にされるために引かれて

 

行った。

 

 「どくろ」と呼ばれている場所に来ると、そこで彼らはイエスを十字架に

 

つけた。また犯罪人たちを、一人は右に、もう一人は左に十字架につけた。

 

 そのとき、イエスはこう言われた。「父よ。彼らをお赦しください。

 

彼らは、自分が何をしているのかが分かっていないのです。」彼らは、

 

イエスの衣を分けるために、くじを引いた。

 

 民衆は立って眺めていた。議員たちもあざ笑って言った。「あれは他人を

 

救った。もし神のキリストで、選ばれた者なら、自分を救ったらよい。」

 

 兵士たちも近くに来て、酸いぶどう酒を差し出し、

 

 「おまえがユダヤ人のなら、自分を救ってみろ。」と言ってイエスを

 

嘲った。

 

 「 これはユダヤ人の王」と書いた札も、イエスの頭の上に掲げてあった。

 

 十字架にかけられていた犯罪人の一人は、イエスをののしり、「おまえは

 

キリストではないか。自分とおれたちを救え。」と言った。

 

 すると、もう一人が彼をたしなめて言った。「おまえは神を恐れないのか。

 

おまえも同じ刑罰を受けているではないか。

 

 おれたちは、自分のしたことの報いを受けているのだから当たり前だ。だが

 

この方は、悪いことは何もしていない。」

 

 そして言った。「イエス様。あなたが御国に入られるときには、私を思い

 

出してください。」

 

 イエスは彼に言われた。

 

 「まことに、あなたに言います。あなたは今日、わたしとともにパラダイス

 

います。」

 

 

 

 

 

§ 十字架上の犯罪人

 

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 聖書には、このようにイエス・キリストの十字架の場面が描かれています。

 

 そしてこれはルカの福音書だけではなく、マタイ・マルコ・ヨハネの福音書

 

にも、全く同じ場面ではないにしろ、この十字架にイエス・キリストと共に2

 

人の犯罪人がつけられていたということが記されているのです。

  

 

さて、ここに書いてあるように、一人の犯罪者がイエス・キリストに、

 

「イエス様。あなたが御国に入られるときには、私を思い出してください。」

 

と言いました。

 

 「思い出してください」と言っている彼は、イエス・キリストに対して、何

 

特別なことをしたのでしょうか?

 

 

 例えば、困っているところを助けたり、親切にしたり、実は善良なことをし

 

ていたのでしょうか? 

 

 

 そうではありません。

 

 

 マルコの福音書15章32節の後半部分には、このように書いてあります。

 

 『~また、一緒に十字架につけられていた者たちもイエスをののしった。』

 

 

 イエス・キリストと一緒に十字架につけられたのは、左右につけられていた

 

犯罪人2人以外には、誰もいなかったことが、聖書を見ればはっきりと分かり

 

ます。

 

 『一緒に十字架につけられていた者たち』と書いてあるということは、犯罪

 

2人ともが、イエス・キリストに対して悪口を言っていたということです。

  

 

 ところが、このことは、ルカの福音書の方には書いてありません。

 

 

なぜでしょうか?

 

 

 

 

§ 時間について 

 

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 実は、これは、時間帯が違うのです。

  

 マルコの福音書15章33節にはこう書いてあります。

 

 『さて、十二時になったとき、闇が全地をおおい、午後三時まで続いた。』

 

 つまり、犯罪人たちがイエス・キリストに悪口を言っていた時間帯は、午前

 

12時になる以前であったことが分かります。

 

 一方、ルカの福音書の方を見ると、23章44節には、

 

 『さて、時はすでに十二時ごろであった。全地が暗くなり、午後三時まで

 

 続いた。』と書いてあります。

 

 

 つまり、2人の犯罪人がイエス・キリストに悪口を言ったのは、午前12時

 

(午後0時)であったということです。

 

 イエス・キリストは、午前9時頃十字架につけられ、午後3時頃に、十字架

 

から降ろされました。

 

 すなわち、午前中いっぱい3時間に渡り両方の犯罪人は、イエス・キリスト

 

に対し、悪口を言っていたわけです。

 

 

 ところが、イエス・キリストは、それについて、何の反論もされません

 

でした。

 

 

 聖書を見ると、イエス・キリストは、十字架の上で7つの言葉を語ってい

 

ますが、そこには罵りや怒りの言葉は一つも含まれていません。

 

イエス・キリストは、黙って十字架についておられたのです。

 

 

 

 

 

§ 一人の犯罪人の回心 

 

 

 さて、そのイエス・キリストの様子を見ていた犯罪人の内の一人は、「一体

 

なぜこの男は悪口を言わないのだろうか?反論しないんだろうか?」と、

 

次第に不思議に思い、真剣に考え始めたのでしょう。

 

 

 イエス・キリストは、十字架につけられる前には、多くの病気にかかった人

 

や障害を持っている人をお癒しになっていました。

 

 その姿は、旧約聖書に書かれているメシヤ、救い主」の姿です。

 

犯罪人の内の一人は、十字架上のイエス・キリストの姿を通して、この方

 

は、ただの人ではないということに気が付かされたのです。

 

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 そして、彼は、十字架につけられたこの方こそ、救い主だと  気付かされ

 

ました。

 

 そのため、彼はつい先ほどまでもう一人の犯罪人と共にイエス・キリストに

 

悪口を言っていたのですが、

 

 

『おまえは神を恐れないのか。おまえも同じ刑罰を受けているではないか。

 

おれたちは、自分のしたことの報いを受けているのだから当たり前だ。

 

だがこの方は、悪いことは何もしていない。』ともう一人の犯罪人をいさめた

 

のでした。

 

 そしてイエス・キリストの方に向かって、

 

イエス様。あなたが御国に入られるときには、私を思い出してください。」

 

と言ったのです。

 

 彼は、「私を救って下さい。」とは言えませんでした。

 

 なぜなら、彼は、先ほどまでイエス・キリストに向かって、さんざん悪口を

 

言っていたからです。

 

 

 ところがイエス・キリストは、彼に何と言われたでしょうか。

 

 ルカの福音書23章43節には、次のように書いてあります。

 

 

 『まことに、あなたに言います。あなたは今日、わたしとともにパラダイス

 

にいます。』

 

 

 パラダイスとは、簡単に言うと「天国」のことです。

 

 イエス様は、彼に「私たちは、今日共に死ぬが、私も、あなたも、ともに天

 

国に行くのです。」

 

と言われたのです。 

 

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