『臨死体験』について 2

これらのことを、どのように解釈すべきでしょうか?

 

  

「前世治療法研究会」という団体が、アメリカにあります。

 この団体以外の団体でもそうですが、前世を思い出すためという口実で、催眠術がよく使用されています。 

 ところが、催眠術がかかっている状態では話す内容には、全く信憑性がないのです。

 

 この事を理解するためには、人間の記憶の仕組みを理解しなければなりません。

 

 

 

s_33510f35d0ded3a9603dc0bb8be990db_t.jpg

 

 

 

●まず、人間の記憶は、かなり不正確であることが分かっています。

 そもそも、このテーマの研究は、さまざまな犯罪事件における目撃者の証言の信頼性に関するものから出てきたものです。 

 

 裁判において、目撃者の誤った証言が信頼性のある 証拠として提出され、そのために、無罪の罪によって裁かれる人たちがいたことから、この研究がはじめられました。

 

 

 

 

 

s_hittakuri.png

 

  

●犯罪の発生は 突然の出来事で、目撃の時間はかなり短いことが普通です。

 また、いずれの場合にも、かなりの緊張感を目撃者に与えるので、ストレスの多い状態での目撃となりやすいのです。 

 こうした目撃時間やストレスなどの条件は、目撃者の証言の信頼性を左右する重要な要因であると現在考えられています。

 

 当然のことですが、ある出来事を実際に目撃した時点から、それについて証言するまでの間には、時間が経過しているのが普通なので、目撃者の証言は、彼らの過去の記憶に基づいて行われます。 

 従って、目撃者の証言というのは、その人の記憶から引き出された過去の出来事についての証言であるといえます。

  

●さて、記憶の仕組みと言うのは3つの段階に分けることができます。

 

 最初の「記銘」という段階では、「外界からのさまざまな情報を受け取ること」を意味しています。

 

 

 次は「保持」という段階で、「情報が入ってきてから、その情報を思い出すまでの間の期間のこと」をいいます。

 

 

 最後の段階は「想起」です。これは「蓄えておいた情報を取り出す段階で、思いだすこと」を指しています。

  

記銘から順に考えていきますが、私たちがある出来事を経験するとき、出来事のすべてに注目するのではなく、その中のいくつかの特徴を取り出しているのです。それは、自分でも気づかずにしている場合がとても多いのです。 

 

●この記銘の段階で何が記憶に蓄えられるかは、目撃者がどれだけ緊張しているかという「ストレス」や、どのような先入観を持って出来事を見たのかという「予期」によって変化します。

  

●目撃者の証言に影響するストレスは、一般に弱すぎても強すぎても、記憶に悪い影響与えることが知られています。事件の目撃者であった場合、かなりのストレスがかかり、まわりの環境のごく一部の特徴にしか注意がはらえず、その他の部分に注意をはらえないということが起こります。

  

●たとえば凶器を振り回す犯人に出会ったときに、凶器に注目してしまうため、出来事の記憶が悪くなることが知られています。

 

 また予期というものは、私たちのものの見方を変化させるものです。

 

 たとえば、普段からUFOに強い関心を持っていると、空の何かの光がUFOに見えてしまったりすることが、よくあるのです。   

   

●次に、記憶における情報の保持の変化ということを考えましょう。

 記憶の保持の期間は長い時もあれば、短い時もあり、この記憶の保持の期間の長さが、記憶に影響を与えます。

  

   当然のことですが、人間の記憶は、古くなるほど、つまり保持期間が長ければ長いほど、不正確になりやすいのです。そして、その間に、自分が話した言葉そのものや、本やその他のものから新しく得た情報が、その記憶と結びついてしまい、記憶を大きく変化させることが多くあるのです。

 

 このような事後情報によって、最初の記憶がゆがめられ、影響を受けるのです。

  

●例を挙げると、交通事故を目撃した人が、翌日の新聞を読んで、事故を起こした運転手が実は信号無視をしていたということを初めて知ることがあります。

 

 

s_gatag-00000139.jpg

 

 

  

 その結果、この目撃者は、自分が証言を求められた時に、実際には、信号無視を目撃していなかったにも関わらず「その車は、赤信号なのに交差点に入って行きました・・・。」と証言する可能性が出てきます。

 

 目撃者として証言を求められた場合には、当然、目撃した事実を報告するということが期待されていますが、目撃者自身は、自分が目撃した事実と後から聞いた事柄を区別することが非常に難しいということが実験によって分かっています。

  

●このように、記銘の段階でも、保持の段階でも、記憶が歪められることがよくあることが分かります。そして、最後の段階の「想起」の段階においても歪みが生じることが分かっています。

  

●例えば、自動車事故について、「自動車が接触したときのスピードは?」と聞かれるのと、「自動車が激突した時のスピードは?」と聞かれるのとは、速度が明らかにかわることがあるのです。

  

 

●つまり、質問のやり方次第では、記憶の出され方が変わってしまうのです。

  

 また、誰に質問されるかということも重要です。自分自身が信頼をしている人、好意を抱いている人から質問される場合には、その人の意向に沿った回答をする場合がてきます。また、敵意を抱いている人からの質問には、逆の例が見られます。

  

 「人間は写真やビデオと違って、あらゆる出来事をありのままに記憶するのではい。」という事実を忘れてはなりません。   

 

 

s_single-lens_reflex-camera_9995-300x225.jpg 

 

 

           「デジャ・ビュ」(既視体験)について1に続く→